103日目 日本最東端の町、根室へ 標津→根室
<2021年9月7日>
こんにちは、今日は標津から野付半島を走って、それから根室まで行きたいと思います。野付半島を走ると根室に到着するまでで120kmくらいありますが、可能であれば今日のうちに本土最東端の納沙布岬へ行きたいと考えています。明日に納沙布岬に行くとなるとちょうど良い宿泊場所がなく、根室で二泊することになりそうだからです。しかし距離もとてもあるのでひとまずは根室へ向かっていくことにします。
起床は7時ごろです。とにかく今夜は大変でした。夜中に寒くて2、3回は起きてしまいました。正直、北海道をなめていたというか、今までの経験からしてダウンを着て厚着をしていれば大丈夫だと思っていましたが、今日はこの時期でも寒い日になり気温は9度以下まで下がっていました。最初は足を伸ばして寝ていたのですが寒くて目が覚めた頃にはとにかく足が寒くて、小さくうずくまって再び寝ようと努力しました。寝るときに着ようと思っていたタイツを忘れていたのをこのときに思い出したのです。けれどもこんな寒い中で寝袋から出てタイツを履こうという気にもならず、とにかく寝てしまおうという考えでした。毎日走って疲れているというのに起きてしまうとはどれほど寒かったか、これからは青空で寝るときはしっかりとタイツを履いて寝ようと思います。
朝起きたら綺麗に晴れていて、夜には見えなかった転車台などもありました。写真を少し撮って荷物をまとめ、まずはセブンイレブンへいって朝食です。コンビニで今日の行く道や観光スポットを調べていたら時間がかかってしまい、8時40分に野付半島へむけて出発となりました。
野付半島は砂嘴という地形であり、地理の教科書でも説明されています。ここの地面は砂で、海流によってここに砂が溜まり、陸地から突き出た地形になっています。普通に考えれば陸から離れれば砂なんて流されてしまうように思いますが、ここは特別で何があったかうまい具合に砂が堆積しています。しかしやはり良い条件が整ったからこそ生まれた砂嘴であり、現在はコンクリートなどで保護はされていれど少しずつ小さくなっているらしいです。何百年、何千年の未来には野付半島は無くなっているかもしれませんね。
野付半島は細い砂の場所なので走っていると左右に海が見えます。左手はコンクリートで保護されており右手は浅瀬になっています。知床方向から海流があるのでしょう。野付半島の先の方へと風が吹いているので追い風を受けて気持ちよく走っていると、前のパーキングで止まった車から人が呼び止めてくれました。看板を見て話しかけてくれたみたいで、お話をしたら差し入れにと水やお菓子をいただきました。ありがとうございます!水は僕はいつも買っているので嬉しいです。この方のお話によると、釧路から根室までの間に歩いて日本一周をしている人を見かけたけど、車が止められなくて話せなかったと言っていました。これから納沙布岬へ行ったら釧路へと走っていくのでもしかしたら会えるかもしれませんね!
そしれ再び野付半島の先へと走って行きましたが、だんだんと雲が出てきて天気が良くはなくなりました。どんよりとした感じです。けれどもそんな中、対向車線の車がやけにゆっくり走っているなと気にしていたら道の反対側に鹿が見えました。かなり近い位置にいて、これまでに見た(野生の)鹿よりもより間近で見ることができそうです。鹿を驚かさないように自転車を止めてゆっくりと近づいていくと、2ショットを取ることができました。角も立派にあって草をひたすら食べていました。こんな海に挟まれた半島でも鹿であれば餌は豊富だし、生きていけるのですね。人をほとんど恐れていないようですが、下手に刺激して角に刺されたら危ないでしょうし、写真を撮ったら先へ進んでいきます。
野付半島の先の方にはネイチャーセンターがありますが、ここはまずは飛ばして野付埼灯台へ行きました。灯台の近くには駐車場があり、ここから歩いて行きますが、見た感じ、灯台よりもさらに先の方までいくことができるようです。しかし、野生動物保護の看板と一緒にこの先へは漁業関係者以外立ち入り禁止の看板がありましたので灯台を見たら引き返すこととします。
灯台は草が生い茂った先の方にあったので足元の方までは歩いて行きませんでした。道から写真を撮って、引き返していくと話をしている大人の方たちに声をかけてもらって、歩きながらお話ししました。この方々はジュスカ・グランペールという名前でギターとバイオリンのデュオで音楽をやっているとのことで、今日はこの野付半島へミュージックビデオに使う素材の撮影に来ていました。駐車場の反対側の景色が綺麗に見られる場所で撮影をするとのことで少し見学させてもらい、音楽を聞かせてもらいました。Youtubeもやっているとのことで、よければ皆さんも聞いてみてください!僕も少しギターをやっていましたが、パッとセッションをして音楽を奏でられてすごいなと感じました。
最後にジュスカのみなさんと記念写真をとって、ロゴの入った手ぬぐいをいただいてしまいました。記念の品になります!駐車場を出発したら先ほど飛ばしたネイチャーセンターへ行きました。
ネイチャーセンターは1階が売店で、2階には野付半島の野生生物の標本などがありました。野付半島には鳥がいっぱいいて、オオワシ、オジロワシなども生息しているみたいです。この前にオオワシの撮影に失敗したので、またワシの撮影機会があればいいな。それから野付半島は北海道で唯一、夏でもアザラシが見られる場所なのだそうで、砂嘴の内側、根室方向へとアザラシを見物できる観光船も出ていました。残念ながら時間がないので船には乗れませんが、いずれ再び訪れたときにアザラシが見られればいいなと思います。
ということで1階の売店でステッカーと牛乳を買い(半額でラッキーでした)、ここで飲んでから出発しました。もう11時なのでどんどん進んでいきますが、野付半島で最後にナラワラという場所を見ていきます。ナラワラとは野付半島にある珍しい風景で、先ほどここは砂嘴と言いましたが昔にはもっと大きくて、木も多く生えているような場所でした。しかし、海流などによって砂嘴が小さくなり、それに耐えられなくなった木々が枯れはしたもののそのまま生えている状態を保っているのがナラワラです。野付半島にはもう一つ、トドワラというのもあり、それぞれミズナラの木、トドマツの木が枯れた景色です。トドワラも見て行きたいところでしたがネイチャーセンターから道とは別の方へ歩いていかなければならないので時間の関係でいきませんでした。確か片道30分とかだったと思います。しかしナラワラは帰り道から見れるのです。行きの海側とは違い、左手に湾側の穏やかな干潟と鳥たちを見ながら行くとナラワラが見えてきました。
道沿いに駐車場があり、ナラワラはここから見て干潟の奥にあるので少し遠いです。歩いて近くの方まで行くこともできそうもないので少し残念でしたが枯れ木がそのまま残っている様子は見ることができました。手持ちのレンズでズームしてみてもあまり木を撮影することができませんでしたが、手前の砂っぽい部分を含めた写真全体の色合いはいい感じですね。ナラワラは駐車場から写真を撮る程度で終わったので先を目指して出発です。
野付半島の付け根まで戻る950号線は、こちら側からは半島で湾になっている側がよく見えて、鳥たちもいっぱいいました。ちょっと遠い場所でこれも写真に撮るのは難しかったですが、波がなくておだやかな場所でしょうからこんなにも鳥がたくさんいるんですね。道を僕が走ると鳥が飛んで行ったりします。
そして244号線まで戻ってきたら根室方面へ走っていきます。もう時間は12時ごろになってしまったので今日中に納沙布岬へ行くのはかなり厳しそうですが、根室まではいきたいところです。今夜の寝床は次の道の駅で調べましょうか。そして旅に出発してからの累計走行距離がもうすぐ7777kmになりそうなのでそれも注視しつつ、今まで見落としてきたゾロ目などの累計走行距離を今度こそ逃さないようにします。
そして13時前になって道の駅おだいとうに到着。しかし中を見てみると今日は営業していないみたいです。ここまで北海道を走ってきてはじめて道の駅の定休日に来てしましました。これではピンズも買えませんですしスタンプも押せません。けれどもまあしょうがないですね。北海道の道の駅は定休日でもトイレは使えるようになっていて利用者も何人かいましたし、止めている自転車を高所から狙っていそうなカラスもいました。
道の駅おだいとうを出発したら次の根室の道の駅を目指しますが、そこまでの道のりが70km弱もあり、コンビニもずっとありません。おにぎりを数個買ってあったので昼食がなしということにはなりませんでしたがしばらくは走り続けることになりそうです。
写真のように緑と水のある場所ですから鳥が多くいます。上を飛ぶ鳥は大きく見えて鷲かもなと思いながら走ります。写真に映るような距離までは近づいてこないので確認は無理でしたが、海岸を見ていたらふと大きそうな鳥を発見しました。とまっている鳥は似た大きさの岩なんかと見間違えやすいので本当に鳥か少し怪しかったですが、スマホでズームして確認しても確かに鳥っぽいです。このチャンスを逃すまいとまだ遠いうちから自転車をとめ、カメラを用意してゆっくりと近づいていきました。
実際に最大限ズームして写真を撮ってみると、ズーム倍率はスマホの方が上で結構綺麗に撮れる印象でしたが、やはり一眼の方が細かいですね。かなり慎重にいったつもりでしたが結構遠くの段階で飛んで行ってしまいました。運が良かったのは奥の方へ行ってしまうのではなく、自分の横を通って後ろの方へと飛んで行ったことですね。そのため、羽ばたく様子とかも撮ることができました。
さて、無事に鷲を撮ることができたら今度は風蓮湖を迂回するため少し内陸側へ走っていきます。ここは衛生写真を見ても森があるだけで何もなかったですが、実際に走っても建物なんかはありません。熊とかいてもおかしくないかもなと思いつつ森を見ていると木々の影が熊のように見えてしまいます。もっとも、右側は少し森を挟んだら湖ですし、左側もすこし奥は牧草地のようですが。
進路を内陸方向から再び南へ向けた時、川を渡る橋がありました。下り坂だったのでそのまま勢いで行ってしまいそうでしたが、久しぶりに開けたこの景色はとても綺麗に見えました。Google Mapではヤウシュベツ川湿原となっているこの場所ですが、カモのような鳥がいて川を横断している様子も見ました。
その後も南下を続け、網走から続いていた244号線は終点になり、続けて243号線を走っていると久しぶりに牧場の看板を見つけました。ソフトクリームのマークもあり、観光客向けに売っているようなのでここでちょっと休憩としました。
20分の休憩で出発。時間は15時45分なので日暮れを考えてゆっくりはできません。次の目的地は道の駅スワン44根室です。数キロ進んで44号線に合流し、東へと最東の街、根室へ向けて行きます。そしてサイクルコンピュータの累計走行距離もそろそろゾロ目になる頃合いです。路面が綺麗で広めな44号線を気持ちよく走っていきました。
そして残り1、2km程度で7777kmになる所で道路の工事をやっていました。この区間に関しては立ち止まっては明らかに車の邪魔になってしまうのでこんな場所でゾロ目にならないでくれよと思いながら走りました。すると願いが通じたのかちょうどのところで道路の工事区間が終わり、さらに現れた青看板に納沙布岬まで44km、根室市街地まで22kmと書かれていました。なんかものすごい偶然が重なっているような気がします。この看板の前は路側帯もありますし、ここで記念写真を取りました!
記念すべき7777kmから5kmほど走ると道の駅スワン44根室です。この道の駅は風蓮湖のほとりにあり、デッキみたいな場所から湖を眺めることもできました。まあ、風蓮湖をみるならさっきのヤウシュベツ川の方が綺麗でしょうが。道の駅では花咲ガニのカップ麺が売っていました。根室の近くに花咲という地名があり、花咲ガニの名はその地名から取られているように根室のあたりでは名産です。少しお高いですが蟹がどのように入っているか気になりますし、この道の駅のおすすめに書かれていたので買ってみました。いつ食べるかわかりませんが、いつか食べるものとして持っていこうと思います。
そして少し寒いので風避けになる場所で今日の寝床について調べました。どうやら根室には大きな公園があるみたいで、キャンピングカーの人やテントを張る人もけっこういるみたいという情報がありました。ということで今夜の寝床はここになりますかね。安い宿はなかったので今夜はしっかりと着込んで昨晩のようなことは避けないといけません。
そうして道の駅を出発したのは17時20分、あたりもうっすらと暗くなり始めています。道を走っていると神社の鳥居に鹿がいるのをみて写真を撮ったりしながらしばらく進むと44号線がバイパスになり、自転車では走れないので旧道の方をいきます。
これが大変で、坂が多くてトンネルでまっすぐ行くバイパスを羨ましく横目にしながらいきました。いくつかの坂を超えて根室の街が見えた頃には街灯などの灯りが光る時間になっており、あれが東の端の街と思うと達成感があります。
そこから根室へようこその看板があるくらいの市街地に到着したらもうしっかりと夜でしたが、ここからも長くて根室の市街地に入っても坂がたくさんありました。こんなに市街地の中に坂がある町はやっぱり珍しく、なんでこんな場所に街を作ったのか意味がわからないくらいです。谷になっている一番下に十字の交差点があるんですよ。そこまで感じた町は鹿児島の鹿屋と、北海道の紋別くらいですよね。市街地に入ったというのにまだ体力を使って夕飯のお店へ向かいました。
根室にはたくさんのご当地グルメがあります。今日はそのうちの一つ、エスカロップを食べにニューモンブランという喫茶店にいきました。営業時間は調査済みです。エスカロップとはバターライスの上にトンカツを乗せてデミグラスソースをかけた料理で、漁師さんのために生まれたB級グルメです。バターライスがとっても香り高くて美味しかった記憶ですね!多分、方向性的に長崎のトルコライスと似た感じだと思います。
そしてエスカロップを食した後、まだお腹が空いた感じでしたので次にラーメン屋さんへいきました。駅前札幌ラーメンというお店です。お店へ入ってみると少し賑やかな雰囲気で、カウンターに座った僕でしたが座席に座っていた方々とお話しをしました。注文したのは辛味噌ラーメンでしたが、出されたのはそれに加えてホッケだったり刺身だったり。
なんとびっくりですがこちらのお店は皆さんがいうには居酒屋の代わりにお酒を飲んだりする場所なのだそうです。地元の漁師さんらが夜に集まり、その時に一緒に漁で取れたものなんかを持ってきてみんなで食べるということです。僕は何も持ってきてはいないのですが温かくもてなしてくださってありがとうございました!
そして、そのラーメン屋さんに来ていた方のご好意で寝床を用意してくださることになりました。漁師の家庭でこのシーズンは昆布を干していて、干された昆布をまとめるための昆布小屋を使わせてもらいます。最近は夜が寒いですしちゃんとした建物の中で寝られるということで僕にとってはとても助かります!
ということで夕飯を食べたら銭湯へ行って温まり、今晩とめていただく井川さんと待ち合わせの場所へ向かって合流。昆布小屋へ案内していただきその1階でお話をしました。井川さんのお話は住んでいる環境が全然違う点もありとても興味深かったです。例えば北方領土問題は僕にとってはほとんど教科書の中だけでの話でしたが、根室の漁師さんたちにとっては歯舞群島周辺で漁を行うために漁師同士でお金を集めてロシアに払っていますが、その負担が大きく、漁師をやめてしまう人も増えます。その結果としてさらに漁師一人あたりの負担が大きくなるという悪循環となり漁師の街であった根室の衰退にまでつながっているということです。根室の人にとってみれば経済活動の無い歯舞群島をお金を取るためにロシアが占有している状態で、この周辺で北方領土問題関連の看板が多い理由も伺えます。
それから明日は昆布干しのお手伝いをさせてもらえることになりました。利尻島でできなかった昆布干しをここでできて僕も嬉しいですし、井川さん側も人手が増えて助かると言っていました。納沙布岬へ行くと根室をこえて釧路方面へ行くことは距離的に厳しそうですから、手伝いをして明日も根室に泊まることにすればちょうど良いです。
それからちょっと左目の調子が悪くて目が開けれないくらいに痛くなってしまいました。ワンデイのコンタクトレンズを何日間も続けてつけていたからかと思いますが、今日つけたコンタクトを一回地面に落としてしまったことも原因かもしれません。とにかくあまりよろしくないので井川さんとも相談して根室の病院にも行くことにしました。
ということで明日は根室周辺での観光と用事なんかを行い、納沙布岬にも行くことになります。昆布小屋はとっても昆布の香りが充満していますが寝ることにはさして問題にはならなさそうです。昆布を干す作業をすっぽかさないようにちゃんと起きましょう!
今日のまとめ
走行距離 134.68km
走行時間 6:31.11
食費 3397円
ステッカー 255円
計 3652円